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野鳥の里「春夏秋冬」

第92話 松ぼっくりから命を繋ぐ 「ホシガラス」

漆黒の鳥といえば、カラス。その黒い羽に星のような白い斑がちりばめられているのが、今回ご紹介する「ホシガラス」です。名前の通り、星の瞬く夜空を纏ったかのような姿をしています。


ホシガラスは日本では主に北海道、本州、四国の亜高山帯で留鳥として棲息しています。一見すると優雅な姿ですが、しわがれた大きな声で「ガーガー」と鳴くところなどは、やはり紛れもなくカラスの仲間です。


針葉樹、とくにハイマツの木が大好きで、松ぼっくりを頑丈な嘴で突き割って中の種子を餌とします。英名のNutcracker(ナッツクラッカー)はまさにこの採餌の様子を良く表しているといえます。ハイマツの種子を取り出したホシガラスは、それを喉の袋に入れた状態でお気に入りの場所へと移動します。そして木の隙間や土壌の中などにこっそりと隠しておくのです。こうして貯えられた種子は厳しい冬を過ごす間の餌となり、また繁殖期に産まれた大切な雛を育てる時にも使われます。

そしてホシガラスが埋めた種子の残りは、やがて地面から芽吹いて枝を伸ばし、新しいハイマツの林を造成していきます。高山の針葉樹林に生きるホシガラスとハイマツは、このようにして遙か昔から命を繋いできているのですね。



ホシガラスの特性

分 類
スズメ目・カラス科
全 長
約35cm
特 徴
①雌雄同色。頭部は焦茶色、背・胸・腹に白斑がある。
②針葉樹の趣旨を好むが、昆虫や鳥の卵、人間の残飯なども食べる雑食。
③土壌中に種子を貯食する。
生息地
亜高山帯の針葉樹林
採 餌
針葉樹の種子、昆虫等、雑食性
ホシガラス

星のような白斑が特徴
写真提供:(公財)日本野鳥の会 松浦 洋二 様