まるでお坊さんのような名前の鳥、チョウゲンボウ(長元坊)は、ハヤブサの仲間の猛禽類です。この変った名前の由来は、昔飢饉に陥った村を救った「長元」という僧に縁があった鳥だからではないかという説や、飛翔の様子がトンボに似ており、トンボをゲンゲンボウと呼ぶ地域があることからそれが転じたのではないか、など諸説がありますが、定かではありません。
体長は雄が33㎝、雌が38㎝と雌の方が大きく、猛禽類としては小型ですが、尾が長く全体的にスマートな身体つきをしています。小型と言えどハンターとしての腕前はたいしたもの。空中を停空飛行し、抜群の視力で地上のネズミや昆虫類等を探し出します。チョウゲンボウはハヤブサのように早い速度での飛行は出来ませんが、この卓抜した空中停止(ホバリング)能力で見事に獲物を手に入れるのです。
元々は農耕地や川原等の開けた土地で狩りをしているチョウゲンボウですが、近年では街中のビルでも繁殖しているのが確認されています。断崖に巣を作ることが多い彼らにとって、ビルや橋梁を棲家にすることも決して難しくはないのでしょう。
グライダーのように優雅に飛翔し空中で静止するチョウゲンボウの美しい姿は、多摩地区でも多く観察されています。
チョウゲンボウの特性
空中から獲物を狙うチョウゲンボウ
写真提供:(公財)日本野鳥の会 松浦 洋二 様