古くは日本書紀や万葉集にもその名が記されているアトリ(花鶏・集鳥)。彼らの特徴は何といっても集団行動です。日本書紀では681年11月、「アトリの群れが天を覆い東南から西北へ飛んだ」という記述があります。「天を覆う」と表現されるだけあって、彼らの群れは数百から時には数十万もの大規模なものになります。
アトリの名前の由来については、集団行動をとる鳥、「集まる鳥」が転じてアトリとなったのではないか?という説が有力のようです。
体長僅か16㎝程のアトリはユーラシア大陸の亜寒帯針葉樹林で繁殖し、日本へは冬鳥として飛来します。小さな身体ながら、その翼には長距離の旅に耐えることの出来る逞しいパワーを秘めているのです。
雄は頭部が黒く、喉から胸にかけては鮮やかなオレンジ色、腹部が白です。雌は色調は同じですが、雄よりも全体的に地味な色合いです。また、雌雄ともに尾の先がMの字のように切れ込んでいるのも特徴の一つです。
秋風が吹く頃にやってくるアトリはほぼ全国でその姿を見ることができ、多摩地区では例年10月頃から翌年4月頃まで観察されています。彼らが大好きなのは赤いナナカマドの実。その木の側でそっと待っていたら、美しい姿を見せてくれるかもしれませんね。
アトリの特性
黒・白・オレンジの色合いが美しい
写真提供:(公財)日本野鳥の会 松浦 洋二 様