クルリとカールした冠羽がとても魅力的なタゲリ。漢字では田鳧と表記します。同じく田んぼに生息するケリ(鳧)は留鳥で一年を通して見られる鳥ですが、タゲリはユーラシア大陸の温帯から亜寒帯で繁殖し、日本には越冬の為に渡来する冬鳥です。
渡りの時期には群れを作って行動することが多く、水田などの湿気のある場所を好みます。餌は昆虫やミミズ等の動物食で、足で地面を叩いてミミズなどをおびき出して採食する姿がしばしば見られます。草の実などの植物を食べることもあるようです。
タゲリの特徴はなんといっても頭の黒くて長い冠羽ですが、翼の色もまた美しく、深い緑色に赤の混じった艶やかな翼は陽の光の角度によって玉虫のように輝きます。そんなタゲリの美しさは「冬の貴婦人」とも称されています。
またタゲリはとても警戒心の強い鳥でもあります。その姿を観察しようと近づけば、たちまち「ミュウ、ミュウ」という猫のような声で鳴いて飛び立って行ってしまいます。
近年では生息地である水田も減少し、タゲリの個体数も少なくなってしまいました。優雅な冬の貴婦人に出会う幸運に恵まれたなら、その時はそっとご挨拶してあげてください。
タゲリの特性
冬の貴婦人の美しい佇まい
写真提供:(公財)日本野鳥の会 松浦 洋二 様