ノスリは多摩地区でも比較的容易に観察することができる鷹の仲間です。草原や農耕地など開けた場所を好み、ネズミや蛇などを餌とする猛禽類の一種なのですが、あまりどう猛な印象ではなく、つぶらな瞳はむしろ優しげでカラスに追い立てられることも珍しくありません。
「ノスリ」という名前の由来は、低空を「野を擦る」ように飛ぶからという説と、韓国語では「スリ」は猛禽類につく名前であることから、「野にいるスリ」が語源であるという説があります。主にネズミを餌とするノスリは、大きな獲物を狙う鷹狩の場では役に立たないため「マグソタカ」などという気の毒な別名もつけられていますが、実際は農作物の敵であるネズミを捕食してくれるので、農村部ではありがたい存在でもあります。
同じタカ科であるトビとよく似ているため見分けるのが難しいのですが、ノスリはトビよりも一回り小さく、翼の下面が白っぽく見えます。また、尾羽の形が三味線のバチのような形であればトビ、扇を開いたような丸みがあればノスリです。
「ピィエー」という可愛い鳴き声が聞こえたら、空を見上げてみて下さい。翼を広げて飛翔するノスリに会えるかもしれません。
ノスリの特性
青空を飛翔するノスリ
写真提供:(財)日本野鳥の会 関根 常貴 様