「日本書紀」にも登場し古くから日本人に親しまれている鳥、セキレイ(鶺鴒)。セキは「背中」レイは「冷たく澄んだ」という意味で、背筋がピンと伸びたこの鳥の涼やかな姿を良く表しています。長い尾を上下に振りながら歩く様子が、尾で叩いているように見えることから「石叩き」「庭叩き」などと呼ばれることもあります。
セキレイの仲間は日本では十種以上確認されていますが、多摩地区で最も観察し易いのはハクセキレイです。1900年代前半までは、北海道で繁殖し冬場に本州へ南下する渡り鳥でしたが、年々その勢力を拡大して行き、近年では九州でも観察されるようになりました。
元々セキレイは海岸や河川などの水辺を好みますが、ハクセキレイは市街地等の都市的な環境へも適応しており、人家のすき間に巣を作ることも珍しくありません。人間の多い場所の街路樹や建築物などを、集団でねぐらにしていたりするのです。
また食性も雑食で地上や水中の昆虫類のみならず、人間のこぼした食べ物を啄むこともあるようです。
ハクセキレイの分布が大きく広がり続けているのは、やはりこうした逞しさがあるからなのでしょう。
早春の陽射しの中、尾を振って歩くスマートな鳥が居たら、ぜひ注目してみてください。
ハクセキレイの特性
すらりとした姿で尾を振って歩く
写真提供:(財)日本野鳥の会 名執 修二 様