ウグイスの仲間である「ヤブサメ」は、体長約10㎝の可愛らしい鳥です。姿も似ているため、 「カワリウグイス」と呼ばれることもあります。漢字では「藪鮫」もしくは「藪雨」と表記され、 藪の中にいる小さな(=さ)鳥(=め)の意とする説と、「シシシシシ」という鳴き声が藪に当たる 雨音のようだからという説があります。一方、馬に乗りながら矢を射る儀式「流鏑馬(やぶさめ)」との関係はないようです。
また、その名の通り「藪」を好み、体色も地味な茶褐色であることから観察することが難しい鳥でもあります。 鳴き声は虫の音と間違われるほど甲高く、その周波数は他の野鳥と比べて2~3倍も高い8~10kHz。この域になると、 人間の聴力では聞き取れないこともあるようです。
日本には夏鳥として飛来し、やがて冬が来ると遙か遠くの東南アジアまで大移動するヤブサメ。 その小さな体に逞しいパワーを秘めて、この夏も藪の中で力強く鳴いています。声だけでなく姿も是非見てみたいものです。
ヤブサメの特性
白い眉斑と短い尾が特徴
写真提供:日本野鳥の会 岩崎和男様