お酒に酔った人があっちにフラフラこっちにフラフラ…。そんな歩き方を「千鳥足」と呼んでいますが、本物のチドリ(千鳥)は実にしっかりとした足取りです。
河川や湖沼でよく見られる「イカルチドリ」は、水辺に棲むカニなどの甲虫類を主な餌としています。前後左右に速度や方向を変えて歩く「千鳥足」は動きの予想がつきにくく、狙われた獲物がなかなか逃げ切れないため、確実に捕食するには大変有効な歩き方なのです。
同じチドリ科のコチドリとも非常に良く似ていますが、イカルチドリには目の周りの黄色い輪がありません。体長もコチドリより5㎝ほど大きく、英語名の(Long-billed Plover)の通り長い嘴を持っているので、識別するのは比較的容易です。また、「イカル」とは、古語で「大きい」もしくは「厳(いか)めしい」という意味なので、チドリ類の中で比較的大きいこの鳥がそう命名されたのでしょう。
日本では留鳥として身近に生息していますが、その分布は極東アジアに限られ世界的には稀少なイカルチドリ。河川敷への人や車の立入りなどによる造巣環境の悪化が懸念されています。
イカルチドリの特性
餌を探しながら水辺を徘徊していることが多い
写真提供:日本野鳥の会 岩崎和男様