「ツバメ」よりも一回り小さい「イワツバメ(岩燕)」。国内には夏鳥として4月頃に渡来し、九州以北の各地で繁殖します。主に、山地や海岸などの岩場や岩壁に営巣することからこの名が付きましたが、橋げたやビル、民家の軒下など、市街地でもよく見られます。
イワツバメの巣は、泥や枯れ草などを使い、唾液で壁面に貼り付けるようにして作られます。カラスやヘビなどの天敵からヒナを守るため、横穴式の出入口は狭く、全体がお椀形をしています。
一般に、渡り鳥は毎年新しく巣を作りますが、イワツバメの多くは以前に作られた巣を補修、増築して再利用します。これは、巣作りの労力を省くことで、通常1回の繁殖を2回に増やすためです。一方、手間のかからない古巣をめぐり、しばしば激しい奪い合いが勃発。空中戦が展開されることも珍しくありません。また、うっかりスズメに巣を横取りされてしまうことも。厳しい自然界では、なかなか気を抜けないようです。
イワツバメの特性
ヒナの鳴き声にせがまれ、せっせと餌を運ぶ親鳥
飛びながら餌に狙いをつける
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様