日本三鳴鳥は「ウグイス・コマドリ・キビタキ」ですが、「クロツグミ」もその座を争うほどの美声の持ち主です。旋律の組み合わせを変えることで数十種類のレパートリーを持つとともに、他の野鳥の鳴き真似も得意とします。声量が豊かなオスほどメスに選ばれやすいことから、初夏の森では艶やかなさえずりが響き合います。
クロツグミは、4月頃に夏鳥として日本へ渡来します。渡りの時期は市街地の公園などでも観察できますが、繁殖期は丘陵地や低い山地などの森林で縄張りを持ち、番いで生活します。そして子育てを終え、秋も深まる10月、越冬の地であるインドシナ半島へと飛び立つのです。
彫刻家で詩人の高村光太郎氏(1883年~1956年)は、『クロツグミ』という有名な詩を残しています。
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クロツグミ
作詩 高村 光太郎
クロツグミなにしゃべる。
畑の向うの森でいちにちなにしゃべる。
ちょびちょびちょびちょび、
ぴいひょう、ぴいひょう
こっちおいで、こっちおいで、こっちおいで、
こひしいよう、こひしいよう、
ぴい。
おや、さうなんか、クロツグミ
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クロツグミの特性
圧倒的な歌唱力で自由自在に歌う(オス)
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様