数千キロという長距離を、数日間休まずに飛ぶことができる渡り鳥「シギ(鴫)」。日本では50種以上のシギが観察できますが、その多くは、渡りの途中である春と秋に「旅鳥」として訪れます。
越冬の地オーストラリアから9千キロ以上をはるばる移動してくる「オオジシギ」は、4月頃に日本へ渡来するとそのまま国内で繁殖します。しかし近年、生息環境の悪化により絶滅が危惧されており、「日豪渡り鳥協定」で保護の対象となっています。
最も大きい「ジシギ(地鴫)」ということから名付けられた「オオジシギ」は、別名「雷シギ」とも呼ばれ、急降下しながら尾羽を振るわせて「ザザザッ」という大きな音を出す「ディスプレイ・フライト」という飛び方をします。これは、なわばり宣言や威嚇のほかに、繁殖期にはメスへの「求愛」の意味があります。オスが集まってメスを引きつけるために行われ、メスはこれを見て気に入ったオスを見つけるのです。
やがて、地上に営巣して子育てをしますが、オオジシギはチドリと同様に「擬傷」を行います。外敵がヒナに近づくと、自ら傷ついたふりをしてオトリとなり、外敵の眼をそらすのです。
ヒナが育った10月、スタミナを十分蓄えたオオシギの長旅がスタートします。
オオジシギの特性
国内では主に北海道~本州中部に生息
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様