薄暗く深い森の奥で、燃えるような黄金色に輝く野鳥「アカショウビン」。5月初旬に夏鳥として日本へ渡来し、全国の渓流や湖沼近くのブナ林などにひっそりと生息します。渡来数が少ないため、バードウォッチャーが是非ひと目観たいと思う憧れの野鳥です。国内に生息するカワセミ類は、アカショウビンのほかにカワセミ、ヤマセミの3種類ですが、アカショウビンだけが渡り鳥です。
アカショウビンは、曇り空の下、雨が降りそうになると「キュロロロ…」と鳴き始めることから、古くから「雨乞鳥(あまごいどり)」と呼ばれ、空に向かって鳴くのは「前世で悪いことをした罰として水を与えられず、のどを潤す雨を求めているから」との言い伝えがあります。また、「水乞鳥・水恋鳥(みずこいどり)」と呼ばれていた時代もあったそうです。
アカショウビンは、古木や赤土の壁に嘴で穴を掘って営巣し、6月から7月にかけて繁殖します。採餌は、池や湖に生えている木の枝などから獲物を狙い、小魚やサワガニ、カエル、トカゲなどを見つけると、降下して捕獲します。
ヒナが育った秋口、アカショウビンは越冬のため東南アジア方面へ渡って行きます。
アカショウビンの特性
海外では「ファイヤーバード(火の鳥)」とも呼ばれる
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様