ウグイスの仲間であるセンダイムシクイ(仙台虫喰)は、毎年5月上旬に東南アジア方面から「夏鳥」として日本へ渡来して繁殖します。スズメより少しだけ小さく、背中側と翼が黄色みを帯びた緑色をしており、頭の真ん中にある淡い緑色の線が特徴です。
ウグイスの習性に似てなかなか姿を見せてくれず、見つけてもすぐにどこかへ行ってしまうため、森の中にはさえずりだけがこだまします。普段は樹上で生活し、エサとなる昆虫類も枝を渡りながら捕まえるため、水を飲む時以外に地上へ降りることはほとんどありません。
また、ツツドリはセンダイムシクイに托卵する習性があり、センダイムシクイの親鳥がツツドリのヒナに一生懸命エサを運ぶ姿が見受けられます。そのため、センダイムシクイが生息する広葉樹林では、ツツドリの「ポポッ、ポポッ」というさえずりも良く聞かれます。
センダイムシクイのさえずりは、「焼酎一杯グイー」とか「疲れたビー」、「鶴千代君(つるちよぎみー)」などと聞きなしされます。「センダイムシクイ」という名前も、歌舞伎の「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」の鶴千代君にちなんでつけられたと言われています。
子育てが終わり、秋を迎える10月。センダイムシクイは越冬のため東南アジア方面へと旅立ちます。
センダイムシクイ
声はすれども姿は見えず
センダイムシクイ
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様