海岸や河原、水田などの水辺に生息するコチドリ(小千鳥)は、日本のチドリ類の中では一番小さく全長約16㎝。嘴は黒く脚は黄色で、眼の周囲の黄色いアイリングが特徴です。
チドリ類の足指は前向きの3本しかありませんが、これが砂地などの水辺を歩き回るのに適しており、餌である昆虫やゴカイ、カニなどを捕らえる際、すばやく走った後に急停止して全身をピタリと静止させ、一旦無関係な方向に行くと見せかけていきなり急襲するという習性があります。これは、お酒に酔った人が時々立ち止まっては方向を変えてフラフラと歩く、いわゆる「千鳥足(ちどりあし)」の所以と言われています。
また、コチドリは「親の鑑」とも言われます。これは、「擬傷」という自らの身を張った行動によって卵やヒナを外敵から守るためです。コチドリは、砂浜や河原などに巣を作って卵を産みますが、犬や猫、イタチ、ヘビなどの外敵が巣に近づくと、親鳥は敵の前に飛び出し、負傷して動けないようなふりをして注意をひきつけます。敵が親鳥を捕らえようと動くと、それに合わせて逃げ、自分を追いかけさせることで離れた場所まで敵を誘い出すと、いきなり飛び立って逃げてしまうのです。
コチドリの特性
▲警戒しながら餌を探すコチドリ
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様