秋から春にかけて見られる「冬鳥」は、越冬のためサハリンや中国東北部などから南下し、10月~11月頃日本へ渡来しますが、ちょうどその頃入れ違いで「夏鳥」たちが東南アジア方面へと出発します。秋と春は、渡り鳥にとっては慌しい移動の時期なのです。
「冬鳥」の代表格である「ジョウビタキ」は10月頃に渡来し、河原や公園、農耕地、市街地など開けた土地に好んで住みます。ここ多摩地域の街中でも頻繁に目にすることができる身近な野鳥です。単独で生活することが多く、それぞれが「縄張り」を持ちます。その際、「カッカッ」、「キッキッ」といった打撃音にも似た甲高い鳴き声で「縄張り」を主張しますが、これが火を焚く際の火打ち石をたたく音に似ていることから、「火焚き(ヒタキ)」の名が付いたといわれています。
オスは、頭が銀色で顔と翼が黒色、腹部がオレンジ色と鮮やかなコントラストなのに比べ、メスは保護色の傾向が強く地味です。また、オス、メスともに翼に白い斑点があり、これを着物の紋に見たてて「紋つき鳥」と呼ぶ地方もあります。
オスとメスで色が違うのはどうして?
野鳥の世界では、オスの方が派手な色をしていることが多く、また綺麗な声で鳴きます。これは、オスが自分の遺伝子を残そうとメスにアピールするためで、オスは綺麗な姿と声でメスを引きつけて番になるのです。種類によっては、繁殖期にあわせてオスの翼が鮮やかな色へと変わることもあるそうです。他にも、メスの前でダンスを踊ったり、メスにえさをプレゼントしたりと、さまざまな求愛行動が見られます。一方、メスは、外敵から身を守るために保護色であることが多く、一見地味な傾向にあります。
ジョウビタキ(オス)
ジョウビタキ(メス)
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様