青梅街道沿いのJR御岳駅前の遊歩道を多摩川へ下りて行くと、秩父多摩甲斐国立公園の中でも特に美しい渓谷として、日本名水百選に指定されている「御岳渓谷」があります。このあたりは、春は新緑と桜、秋は紅葉と、年間を通じて人気のあるスポット。渓谷の中心にかかる御岳小橋からは、左右に渓谷美が望めます。
御岳渓谷は、その豊な水量と変化に富んだ流れから公認のカヌースラロームコースに指定されており、かつてはここで全日本選手権大会も行われました。多数のオリンピック選手を輩出したこの御岳渓谷には、連日カヌー愛好者が集っています。
また、渓谷の対岸には、日本画壇の巨匠・川合玉堂(明治6年生まれ)の作品を展示する「玉堂美術館」があります。この美術館は、川合玉堂が昭和19年から昭和32年に84歳で他界するまでの10年余を御岳で過ごしたことを記念して建てられました。明治から大正、昭和にかけて日本画壇の振興に貢献し、自然や人を愛した玉堂画伯の人柄は土地の人々からも慕われ、御岳渓谷を望む絶好の地に、皇后陛下をはじめ諸団体、地元有志、全国のファンからの寄付により、没後4年の昭和36年5月には早くも美術館が開館したそうです。展示作品は15歳頃の写生から84歳の絶筆までと幅広く、季節に合わせて展示替えを行っています。
武蔵御嶽神社
青梅市の西端、多摩川右岸にそびえる御岳山(929m)。山頂にある武蔵御嶽神社は、関東でも有数の山岳信仰のメッカで、約2000年前の崇神天皇時代の創建と伝えられています。江戸時代には農耕神として広く信仰され、連日参拝者で賑わったそうです。宝物殿には国宝の「赤糸縅大鎧(平安時代)」をはじめ、多くの文化財が展示されています。
山頂展望台からは、晴れていれば東京タワーや新宿高層ビル群、レインボーブリッジなどが眺望できます。
芸術・文化の香り高き御岳渓谷
河岸には歴史ある旅館が並ぶ
静かな佇まいの玉堂美術館
JR御嶽駅より徒歩3分、月曜休館
終点の御嶽山駅まで約5分
御嶽神社までは、さらに徒歩25分の道のり
2月3日、武蔵御嶽神社では毎年恒例の「節分祭」が行われた