豊富な水源林を抱える奥多摩町。中でも巨樹の本数は日本一を誇ります。巨樹とは環境省の定義で地上1.3mの幹の周囲が3m以上の樹木を指しますが、奥多摩町には891本もの巨樹が確認され、日本一の巨樹の里であることが確認されています。特に日原地区は、幹周り7.51mの「金袋山のミズナラ」や樹高33m・幹周り6.2mの「倉沢のヒノキ(東京都指定天然記念物)」など巨樹の宝庫。ここに残された広大な自然林が多摩川の水源林として東京都民を支えているのです。奥多摩に巨樹が多いのは、かつてこの地方の自然林が国府の修験山として保護されていたからだと言われています。
この水源林が生んだ川の一つが、多摩川の支流「日原川」です。日原川は雲取山を源流とする全長約20㎞の川で、奥多摩町氷川で多摩川に合流しています。上流域にはイワナが生息し、途中マス釣り場も点在します。一方、この流域は大量の石灰が採取できることでも有名で、長い年月を経て石灰岩の中にできた洞穴「日原鍾乳洞」は一大観光名所として知られています。
天然記念物 日原鍾乳洞
鍾乳洞は石灰岩の中にできた洞穴で、雨水の中に含まれている炭酸ガスによって石灰岩が溶解されてできます。洞穴の天井から垂下するツララ状のものを鍾乳石といい、反対に盤状に沈殿して成長したものを石筍、鍾乳石と石筍が1本につながったものを石柱といいます。この鍾乳石は3㎝のびるのに200年を要し、石筍は3㎝のびるのに、400年を要するといわれています。
奥氷川神社の三本杉(東京都指定天然記念物)樹高49m・幹周り7.36mは東京一
日原川の上空を、石灰を運搬するトロッコが行き交う
江戸時代には山岳信仰の地として参拝者が絶えなかったという
洞内は常に摂氏11℃
新洞と旧洞に別れ、規模・美しさともに関東随一といわれる