「奥多摩むかし道」は奥多摩町氷川から小河内に達する旧青梅街道です。かつては、甲州裏街道として多くの人馬が行き交い、塩山や甲府の物資が運ばれていました。その後、明治11年に今の青梅街道が開通し、柳沢峠を通って塩山に至りました。そして、昭和13年に小河内ダム建設用に造られた道路が、後に一般道として開放されて現在の国道411号線となったのです。
現在、「奥多摩むかし道」は片道約9㎞、徒歩約4時間のウォーキングコースとして整備され、リュックを背負った観光客が訪れています。途中にある白髭神社や弁慶の腕抜き岩、いろは楓巨樹、惣岳渓谷、馬の水飲み場、牛頭観音などの数々の名所や渓谷の美しい景色とともに、古き時代に思いを馳せながらのウォーキングはいかがですか?
小河内側のむかし道入口
奥多摩駅を目指して出発
集落の間を縫うように「むかし道」は続く
白髭神社
東京都指定天然記念物の巨岩を側面に社殿が建つ。巨岩は秩父古生層のうち石灰岩層の断層が露頭したもの。
馬の水飲み場
ここで馬を休ませ、馬方衆は茶屋で一服休憩。茶屋は3軒あり、駄菓子やうどん、タバコのほか、一杯酒もあった。
惣岳渓谷
太古以来の大洪水と、近くは明治40年の大水害で、多摩川南岸しだくら谷より押し出された巨岩が造った美しい谷。
弁慶の腕ぬき岩
下方に腕が入る程の穴があることから、誰ともなく「弁慶の腕ぬき岩」と呼ばれるようになった。高さ約3メートル。
がんどうの馬頭様
人ひとりが通れるほどの旧道では、多くの馬が谷底へ転落し、そのたびに供養塔が増えていった。
玉堂歌碑
日本画家の川合玉堂(明治6年生まれ)が、29歳の時に奥多摩の憧憬を詠んだ歌が刻まれている。晩年は奥多摩に移住し、昭和32年84歳で他界。