今年五月、新緑の美しい福生市加美上水公園に、野鳥研究家として名高い中西悟堂氏の記念碑が完成しました。昭和九年に「日本野鳥の会」を設立した中西悟堂氏は、それまでは飼育や狩猟の対象に過ぎなかった鳥を、あるがままにその姿や声を愛でて保護しようと考え、日本で最初に「野鳥」という言葉を生み出した野鳥の父であります。
自然をこよなく愛し、野鳥保護のみならず自然保護にも力を尽くされた中西氏が、太平洋戦争中の昭和一九年に杉並区から移り住んだのが、加美上水公園の辺りでした。中西氏は玉川上水の清らかな流れとクヌギやナラ等の生い茂る緑豊かなこの地を大いに気に入り、ここに「野鳥村」を設置しようと計画をしていました。残念ながらこの計画が実を結ぶことはありませんでしたが、美しい自然に囲まれ野鳥の歌声が響くこの福生の地には、生涯をかけて野鳥を愛し護った中西氏の熱い思いが残されています。
生誕一二〇周年を迎える今年、完成した碑には、優れた詩人、歌人でもあった中西氏の詠んだ詩「尾長」が記されています。
玉川上水周辺を散策する折がありましたら、福生市の加美上水公園を訪れみてはいかがでしょうか。
緑豊かな加美上水公園
完成した中西悟堂記念碑