漢字で書くと「山椒食」。さぞかし山椒を好んで食べている鳥なのかと思ってしまいがちですが、そうではありません。「ヒリヒリヒリ」という囀りが、まるでピリリと辛い山椒を食べたかのように聞こえるので、その声が名前の由来になったのだそうです。
サンショウクイは夏鳥として日本に飛来し、本州以南で繁殖をしますが、個体数はあまり多くありません。環境省のレッドデータブックでは“絶滅危惧Ⅱ類”に指定されている希少種です。
全長は20㎝で背面は灰色、胸から腹部にかけてば白く、身体つきはスマートです。山地や丘陵の広葉樹林に生息し、高い木を好んで体を立てて止まります。地上に降りてくることはほとんど無く、餌となる昆虫やクモを樹上でホバリングしながら捕まえたり、フライングキャッチしたりします。
巣は木の高い所の横枝の上に樹皮や枯れ枝を使って作り、その上からクモの糸を使って苔を貼り付けます。出来上がった巣は、一見すると木のこぶのように見えます。
近年は生息地である広葉樹林が減少してしまい、なかなか会えないサンショウクイですが、多摩地区では青梅や昭和記念公園での観察例があります。ヒリヒリという歌声が聞こえてきたら、探してみてください。
サンショウクイの特性
ヒリヒリと囀るサンショウクイ
写真提供:(公財)日本野鳥の会 松浦 洋二 様