ハギマシコは越冬のために日本に飛来する野鳥で、主に本州の中部以北で見られる冬鳥です。漢字では「萩猿子」と表します。「猿子(ましこ)」とは猿の古称であり、猿の顔のように羽が赤いことに由来するという説があります。
同じようにマシコの名を持つオオマシコ、ベニマシコに比べると、ハギマシコの赤味は鮮やかなものではなく、かなり地味だと言えるでしょう。胸から腹部にかけて茶褐色の地に赤紫色の斑があり、これが萩の花に似ていることからハギマシコと呼ばれるようになったようです。
日本に飛来してくる時は冬羽ですが、この時の嘴は黄色で先端が黒くなっています。ハギマシコは群れで行動することが多く、時には数百羽もの大群が見られることもあります。草原などの開けた土地で群れていることもありますが、海岸や山地の崖を好む習性があり、垂直な壁にも止まることが出来る逞しさも持っています。餌は植物食で、地上を歩き回りながらイネ科やタデ科の草の実などを食べています。
冬の足音が近づいて来た頃、ハギマシコは北方から飛来します。可憐な花の名を持つその紅色の羽を、どこかで見られるといいですね。
ハギマシコの特性
腹部の紅色は萩の花のよう
写真提供:(公財)日本野鳥の会 松浦洋二様