恋愛に積極的な女性を最近では「肉食系」と呼んでいるようですが、野鳥の世界でもタマシギの雌は恋の狩人です。殆どの野鳥は雄の方が鮮やかな色合いか、あるいは雌雄同色なのですが、タマシギは珍しいことに雌の方が美しいのです。
24cm程のずんぐりとした丸い身体で、雌は胸元が赤褐色、雄は地味な迷彩色です。雌雄ともに目の周りを囲むように勾玉型の白いアイリングがありますが、それも雌の方がはっきりとしています。
繁殖期になると雌は縄張りを持ちます。嘴は鮮やかな赤色となり、雄に対して大きく翼を広げて求愛のディスプレイをします。番となって卵を産んだ後、抱卵と育児をするのはもっぱら雄の仕事。しっかり雛を守ってくれるタマシギの雄は、まさにイクメンと言えるでしょう。そして産卵後の雌はというと、もう次のお相手を探してまた番となり、産卵して種を残すのです。
この一妻多夫の形をとる鳥類は非常に珍しく、全体の約0.4%に過ぎないようです。
タマシギは水田や休耕田、河川など湿地に生息していますが、近年個体数が減少しているのが心配なところです。
タマシギの特性
子育てをする雄
色鮮やかな雌
写真提供:(公財)日本野鳥の会 松浦 洋二 様