ずんぐりとした文鳥型の身体に精悍な顔つきを持ったシメは、ユーラシア大陸の亜寒帯で繁殖し越冬の為に渡ってくる冬鳥で、多摩地区でも出会いやすい野鳥の一種です。
全長は18㎝程で全体は薄茶色。目から嘴にかけての色が黒くてはっきりしているのが雄、やや薄い褐色なのが雌です。短くて太い嘴の色は冬はピンク色ですが、夏の繁殖期になると雌雄ともに嘴の外皮が剥がれて鉛色に変化します。
シメのこの嘴が臘のような色であることから蝋嘴鳥(ろうしょうちょう)という異称がありますが、実はこの嘴、決して臘のように脆いものではなく、強靭な力を持っています。シメはムクノキやエノキなどの草木の種子を主な餌としていますが、頑丈な嘴は固い殻をバリバリと噛み砕くのに大変役に立つのです。その力は実に30㎏もあると言われています。
シメの学名Coccothraustes coccothraustesは「穀物を粉砕するもの」という意味のギリシア語に由来しています。
平地から山林の林に生息するシメですが、実は公園や市街地にもよく姿を現します。民家の庭の餌台に置かれた種子を啄みに来ることも多いようです。「豆回し」と異名をとる力強い採餌を見てみたいものですね。
シメの特性
鋭い顔つきのシメ
写真提供:(財)日本野鳥の会 鈴木 君子 様