桃太郎の家来になったり、万葉集に登場したり、近年では一万円札の絵柄にも使われているキジは、古くから日本人の身近で愛されてきた美しい鳥です。
日本では本州から九州まで留鳥として分布し、多摩地区でも比較的良く見られます。雄は全長81㎝、尾が長く、全体は緑色で目の周りには鮮やかな赤い肉垂があります。雌は全長58㎝と少し小さく、地味な茶褐色です。
春の繁殖期になると、雄の赤い肉垂は肥大し、「ケーン」という大きな声で鳴いたり、「母衣打ち」(ほろうち)と呼ばれる激しく羽ばたく動作をして、自らの縄張りを主張します。
一夫多妻の習性があり、地面を浅く掘り巣を作って、雌はそこに卵を産みます。キジの雌は非常に母性愛が強いと言われており、巣のある野が焼かれると身を挺してでも子を守ることから「焼野の雉」(親が子を思う情の深さのたとえ)という諺も生まれたほどです。
キジは実はあまり飛ぶことが得意な鳥ではなく、生活をするのは主に地上です。走る速さは時速32㎞とも言われていますから相当なものです。昭和22年には国鳥に指定されています。
キジの特性
色鮮やかな雄
母性愛の強い雌
写真提供:(財)日本野鳥の会 関根 常貴 様