アリスイ(蟻吸)はその名の通り蟻を好んで食べる野鳥です。キツツキの仲間なのですが、その行動はとても風変り。他のキツツキは幹に垂直に止まりますが、アリスイは一般の鳥のように横枝に止まります。また自ら木を彫ることをせずに、他のキツツキ類が作った古巣を利用したり、人間の作った巣箱を使うこともあります。
全長一七㎝程の小柄な体で動作が緩慢なアリスイは、外敵からその身を守るために「擬態」という技を身に着けています。敵が近づいたと見るや、シューシューという音を出して首をクネクネと捻り、なんと蛇の真似をして見せるのです。黄褐色の地に黒い模様のあるその身体は、たしかに蛇のようにも見えますので、敵は驚いて逃げ出すというわけです。アリスイの英名のwryneckとは「曲がった首」という意味で、蛇を真似る時の特徴を言い表しています
好物の蟻を捕える時は、古木や地面の巣に細長い舌を差し入れ、蟻をからめとるようにします。その舌の長さは約10㎝もあり、頭の大きさに比して鳥類最大ということで、ギネスブックにも登録されています。
秋は越冬の為に関東にも渡りに来る季節です。どこかでそのユニークな姿を見てみたいものですね。
アリスイの特性
枝に水平に止まるアリスイ
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様