漆黒の羽毛に覆われた体に、真っ赤なベレー帽を被ったような姿。一度見たら忘れられないほど印象深い「クマゲラ」は、日本では北海道と東北の一部にのみ生息する国内最大のキツツキです。頭部の鮮やかな赤色は、雄は頭頂から後頭にかけて、雌は後頭のみにありますので、雌雄を見分けるポイントにもなります。
他のキツツキ類は木の穴を円形に開けて巣を作りますが、クマゲラは丸木舟のような楕円形に開けることから、アイヌ語では「チプタ・チカップ(船を掘る鳥)」と呼ばれています。
クマゲラの「クマ」は和名で「特大の」という意味ですが、実は動物の熊と縁がないわけではありません。アイヌの間では、クマゲラは熊の居場所を教えてくれたり、道に迷った時に道案内をしてくれる神様だという言い伝えがあるのです。
主に北海道の広大な原生林や混合林に住むクマゲラですが、都市開発による環境の変化によりその数は減少の一途を辿り、現在では僅か6百羽程しかいないそうです。用心深く移動範囲も狭い彼らに出会うためには、多少の幸運が必要かもしれません。
クマゲラは1965年に「天然記念物」に指定されています
クマゲラの特性
クマの居場所を教えてくれる?クマゲラ
写真提供:日本野鳥の会 岩崎和男様