「ニュウナイスズメ」は、その名の通りスズメの仲間で大きさもほぼ同じですが、雌雄ともにスズメの特徴である「頬の黒点」がありません。また、スズメが雌雄同色なのに比べニュウナイスズメは、雄が鮮やかな栗色、雌は頭からの上面が薄茶色で淡色の眉斑があり、雌雄で異なります。
生息場所については、スズメが人家の軒先や街中で巣を作り人間に近い存在なのに対し、ニュウナイスズメは主に山林や農耕地など人里から離れた場所を好みます。 繁殖期には番(つがい)で、それ以外は群で行動しますが、電線などに綺麗に一列に止まり人が通ると一斉に飛び立つ習性から、遠くからでもスズメと識別できます。しかし、少数の場合はスズメの群にこっそり混じっていることもあります。
「ニュウナイ」という変わった名の由来には幾つかの説があります。頬の黒点(古名で「にふ」)が無いことから「にふない」が転じたという説、また、平安時代に東北地方へ左遷された貴族の藤原実方が恨みを抱いて死去し、スズメに転生して宮中の米を食い荒らしたという伝説から、「宮中に入る雀」即ち「入内雀」となったという説などがあります。
どこかでスズメに出会ったら、頬に黒点があるかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
ニュウナイスズメの特性
頬の「にふ(黒点)」がない(雄)
写真提供:日本野鳥の会 岩崎和男様