春の季語として古くから歌に詠まれるなど、人気の高い鳥「ウソ」。口笛を吹くことを「嘯く(うそぶく)」と言いますが、この鳥の鳴き声が口笛に似ていることから「ウソ」と名付けられました。一方、鳴く時に両脚を交互に上げ下げする様が琴を弾いているように見えることから、別名「琴弾鳥(ことびきどり)」とも呼ばれます。
ウソの繁殖地はユーラシア大陸の亜寒帯に広く分布しており、日本では本州中部以北の亜高山帯の針葉樹林で繁殖します。そのため、繁殖期に人里で姿を見ることはほとんどありませんが、餌が少なくなる冬になると低地に降りてきます。早春にはウメやモモを始め、大好物のソメイヨシノなどの花芽を食べにくるため、市街地や公園でも見つけることができます。
ウソは決して「嘘つき」ではありませんが、福岡の太宰府天満宮ではウソを「嘘」と読み替えて「うそ替え」という珍しい神事が行われます。これは、知らずについた嘘やどうしてもつかなければならなかった嘘を清算し、御神前で天神さまの誠心に変えて幸運を戴き、新しい気持ちで本年を過ごすための迎春の神事で、参詣者が木彫りの「木ウソ」を交換し合い、金色のウソを手にした人にはさらなる幸福が訪れると言われています。
ウソの特性
美しい色調とふっくらとした体つきが特徴のウソ
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様