夏の季節の到来を告げる代表的な渡り鳥「ホトトギス」。古来より、春のウグイスとならんで、その鳴き声が季節の初音とされ、特に、その年に初めて聞くホトトギスの鳴き声は、「忍音(しのびね)」といわれ珍重されました。「枕草子」では、「忍音」を人より早く聞こうと夜を徹して待つ場面があります。他にもホトトギスは文学において数多く登場します。
木がくれで 茶摘ときけや
ほとゝぎす 芭蕉
うす墨を 流した空や
時鳥(ほととぎす) 一茶
ホトトギスが日本へ渡来するのは5月中旬頃。他の渡り鳥より渡来時期が遅いのは、ホトトギスには、他の鳥が作り終えた巣に卵を産みつけ、子育ても全て任せてしまうという「托卵」の習性があるためで、托卵の相手はウグイスが多いようです。ホトトギスの親は、ウグイスが巣から離れている隙に卵を産みつけ、卵の数が不自然にならないようウグイスの卵を巣から落として数を合わせます。ウグイスはそれに気づかず、ホトトギスの卵も一緒に暖めていきます。数日後、ウグイスよりも先に、ホトトギスのヒナが産まれると、ホトトギスのヒナは、まだ生まれていないウグイスの卵を全て落としてしまうのです。それでもウグイスは、ホトトギスのヒナにエサを運んで育て続け、やがて巣立っていくのです。
ホトトギスのオスの鳴き声は、「特許許可局!」や「テッペンカケタカ!」と聞きなしされますが、皆様にはどのように聞こえるでしょうか。
ホトトギス(オス)
写真提供:(財)日本野鳥の会