全身が柔らかな紅色で覆われ、黒い翼に鮮やかな2条の白線をもつ「ベニマシコ」。漢字では「紅猿子」と表記しますが、これはベニマシコの羽や顔がまるで猿のように赤いことからつけられたのだそうです。ただし、紅色なのは雄であり、雌は全体的に淡い黄褐色で雄に比べて地味です。ともに繁殖が始まる5月頃から羽色が濃くなり、鮮やかさを増していきます。
分布地はユーラシア大陸東部の主に亜寒帯で、国内では北海道と青森県の下北半島で繁殖します。その後10月末から11月にかけて、越冬のため本州以南の平地や低い山間部へ移動し、草原の水辺やアシ原などで翌春まで生活します。
ベニマシコは目を奪われる程に美しくバードウオッチャー憧れの鳥ですが、警戒心が強いためなかなか姿を見せてくれません。耳を澄まして「ピッポ、ピッポ、ピポポ!」という特徴ある地鳴きが聞こえたら、周囲をそっと探してみて下さい。秋は渡りのシーズンですから、街中の公園などでも珍しい鳥に出会えるチャンスです。
「ベニマシコ」は秋の季語。もしも美しい姿に出会えたら、一句捻ってみてはいかがですか。
ベニマシコの特性
猿の顔に似てる?雄鳥
つぶらな瞳の雌鳥
写真提供:(財)日本野鳥の会 岩崎 和男 様