現在のガスメータはマイコンで制御されており、ガス漏れ及び地震発生
時にはガスを自動遮断する機能を搭載しています。しかし、火災発生時に
ガスを自動的に遮断する機能はありません。一般の火災はもとより震災等
で大規模な火災が発生し、メータガス栓の閉栓が困難な場合、ガス栓が開
いていたことによりガス設備の破損箇所からガスが漏洩し、二次災害が起
こる可能性があります。
「感熱自動閉止ガス栓」は、火災等でガス栓付近が異常な高温状態にな
った場合、その高熱を利用して感熱閉止機構によりガス栓を自動的に閉止
し、ガスを遮断します。当ガス栓の防災効果は非常に大きく、ガスの漏洩
による二次災害を防ぎ、さらに高レベルな安全が確保されることになりま
す。現在の取付数は約10,000個。今後さらに普及をすすめていく予
定です。
《 開発の概要 》
1.原 理
感熱自動閉止ガス栓は、メータガス栓または火気を取扱う厨房等に設
置し、火災等によりガス栓自体の温度が上昇し95℃を超えるとガスを
自動遮断します。
当ガス栓は、火災時にガスを閉止する関係上、固着しないガス栓であ
ることが条件であり、このため熱膨張率の違いによる固着を防止するた
め本体及び栓の材質に同種金属を使用し、栓の表面には潤 滑性と気密
性の良いST被膜処理を施してあるものを使用しており、 使用方法は
従来のガス栓と同じです。
異常昇温時に自動閉栓する原理は、ガス栓
に内蔵してあるハンダ製平行ピン(ストッパ
ー)が95℃で溶解し、ねじりコイルばねの
反力によりガス栓を回転させてガスを自動遮
断するというものです。
2.仕 様
・呼び径:1/2B,3/4B,1B
・製造時トルク:0.588Nm(6kgf・cm)
以下で漏れのないこと。
・1年放置後のトルク:188Nm(12kgf
・cm)以下で漏れのないこと。
・その他の仕様はJIS.S2120−
1992ガス栓に適合。
・戻しバネの力:開=15kg/閉=9kg
3.作動順序
(1)ガス栓本体の温度が火災等で上昇。
(2)ハンダ製平行ピン(ストッパー:
写真−a)が95℃で溶解し、ハ
ンダ流出口よりハンダが流れ出ます。
(3)ボール(写真−b)が回転筒の応力を
受けて、ハンダの溶解とともに流出口方
向に移動。
(4)ロック解除。
(5)ねじりコイルばね(写真−c)作動の反力によ
り、閉方向へ回転(戻しバネの力15kg→9kg)。
(6)同時にガス栓(写真−d)も連係部材により閉
方向へ回転。
(7)ガス栓が90°回転後、閉位置で停止(ストッ
パーねじにより停止)。
4.汎用性・応用範囲
・ガスメータ用ガス栓として使用できます。
・業務用及び厨房用として設置できます。
・このガス栓を使用することにより、内管に樹脂パ
イプの採用も可能です。
・ストッパー材であるハンダの融点を変えることで、
作動温度を任意に設定できます。
・ガス器具等のガス栓として使用できます。