写真−1

*1 施工必要面積:当社使用の既存バルブを利用した
         場合の60%
*2 重量:当社使用の既存バルブの1/4倍


  図−
(既存バルブと当該バルブの比較)


    

1.開発趣旨
(1)開発の動機・目的
   耐震・耐食性に優れた性能を有するポリエチレン管(PE管)は、低圧用導管材料として全国のガ
  ス事業者に広く採用されており、その優位性から、最近では大口径の300Aが使用され始めていま
  す。また、PE管の中圧導管での使用も現在検討されています。PE管のガス遮断には、管内にガス
  バッグを直接挿入する方法と、管自体の圧縮復元性を活かし、スクイズオフ工具により管を押し潰す
  方法、その他にバルブによる方法がありますが、ガス漏れ等で緊急にガスを遮断する場合は、より迅
  速に対応できるバルブによる遮断方法が採られています。しかし、今までPE管300A用のバルブ
  はありませんでした。そこで、中圧導管でも使用可能なステンレス製バタフライバルブとPE管を接
  合し、低コスト・コンパクトで、耐震性・耐食性・作動特性に優れ、浅層埋設に対応可能な『PE管
  300A用トランジションバルブ』を開発しました。
   導管材料として300AのPE管を採用するにあたり、樹脂材料での開発も検討したが、大型(強
  度を得るため肉厚になる)、高コスト(射出成形金型費用が高い)となるため、当該構造のバルブを
  開発しました。
(2)開発の内容
  @トランジションバルブを写真−1に示します。
  A構造を図−1に示します。
  B仕様、性能
  ・使用温度範囲:−20〜60℃
  ・重    量:120kg
  ・材    料:SCS16A
  ・最高使用圧力:1MPa(配管時はPE管の最高
   使用圧力とする)
  C特 徴
  ・高度な安全性(メンテナンスフリー)
  ・高気密性(直接PE管と融着接続が可能)
  ・直埋設が可能(一体鋳造ステンレスボディ)
  ・浅層埋設に最適(スリムなボディ)
  ・低コスト(低コストバタフライバルブの採用)
  ・簡単に遮断が可能(低トルク)
(3)新規性・独創性
  @新規性
  ・業界初のPE管300A専用バルブ。
  ・バルブとトランジションが一体構造。
  ・シンプル構造のトランジション(エレクトロフュージョン継手:EFソケット)を利用。
  ・軽量(当社採用のプラグ弁の約1/4倍)
  A独創性
  ・簡単設置:出入り管の2箇所を融着するだけで、バルブ設置完了。
  ・少 部 品:EFソケットを利用したトランジション部(図−1)。
  ・防食施工の省力化:バルブ本体に耐食性の高い、SUS316Lを使用し、直埋可能としました。
  ・コンパクトボディ:接続部品をボディ内部に納め接続部に加わる外力の影響を最小限に抑える構造
   としました。


2.実 績
(1)合理化実績
  @設置費の削減(図−1)
  ・土木費低減:設置面積が少なく、全高が
   低いため浅層埋設施工ができることによ
   るコストダウン。
  ・配管費低減:軽量かつEF接合だけで接
   合でき、設置時間の短縮と技能工を必要
   としないことによるコストダウン。
  Aガス拡販効果
  ・特になし
(2)省エネルギー・環境改善実績
  @省エネルギー
  ・出入り管の2箇所を融着するだなので、
   省エネルギーで設置可能。
  ・製作過程において既存品との部品共有化
   を図り、省力化を実現しています。
  ・掘削量低減のため、土木機械等の運転時
   間短縮により省エネルギーを実現。
  A環境改善
  ・既存バルブと比べてコンパクトで設置面
   積が少ないため、土木工事により排出さ
   れる残土、ガラ等の産業廃棄物を大幅に
   削減できます。
  ・現場で機械的接合する配管よりも気密信
   頼性が高いため、安心して省令第51条
   の但し書きによりボーリング検査(当社
   を含む重比重ガスの 供給事業者に必要
   な検査)が省略でき、騒音及び交通障害
   の防止になります。
(3)保安改善実績
  @緊急時に速やかなガス遮断ができます。

  A融着接合設置(EFソケットまたはバッ
   ト融着)により、現場組み立ての機械的
   接合よりも気密信頼性が高い。