1.開発趣旨
(1)開発の動機・目的

   土地価格が比較的低い地域を供給区域とする地方都市ガス事業者においても、保安上の配慮やその
  他の設置条件から、ガバナーの設置場所が制約される状況が生じています。このため、整圧特性に優
  れながらも小型でメンテナンスが容易なガバナーを開発する必要がありました。そしてこの程、広島
  ガス、北陸ガス、日本瓦斯、協成及び当社は共同で、日本ガス協会の支援のもと、都市ガス業界で普
  及しているガバナーを基本構造に、遮断弁・フィルターエレメント等を内蔵し、さらにコストダウン
  を実現した地上式及び直埋式の付帯装置一体型ガバナーの開発に成功しました。

   付帯装置一体型ガバナーは、ガバナーに要求されるほぼ全ての機能を兼ね備えながらも、小型で設
  置場所を選ばず、メンテナンスが容易でトータルコストも低いのです。資金力や技術力の小さい地方
  ガス事業者が、設置場所、使用圧力に係らず安全・低コストでガスを供給するには、整圧特性に優れ
  ながらもコンパクトで、維持管理の容易なガバナーを開発する必要がありました。そこで、@出入り
  管2箇所の接合で、A設置面積が少なく、B設置場所を選ばず、C特殊な操作を必要とせず、D設置
  したその時点から供給可能な「付帯装置一体型ガバナー」を開発しました。
(2)開発の内容
   開発したガバナーを写真−1・2に示します。

          
         写真−1(直埋式)         写真−2(地上式)

(3)新規性・独創性
  @新規性
  ・付帯装置を一体化してコンパクト。
  ・付帯装置をカセット式に外せる構造。
  ・直埋可能。
  ・主要部品が普及型と地上式・直埋式ともに共通。
  A独創性
  ・ガバナー、遮断弁、フィルターエレメント一体内蔵構造。
  ・出入り管の2箇所を接合するだけでガバナー設置完了。バルブ
   を設置する感覚でガバナーが設置できます(写真3)。
  ・ガバナー、遮断弁、フィルターをカセット式に交換できる構造。
  ・遮断弁ユニット、アクチェーターのケーシングをアルミ製にし
   て、軽量化を図りました。
  ・遮断弁をカートリッジ化することにより、使用状況にあわせて、後付け、取り外しが可能。
  ・直埋式は、バルブと一体化した全溶接タイプのコンパクトガバナーで直埋設が可能。
  ・直埋式は、完全防水でバルブ、ガバナー、遮断弁、フィルターを一体化としているため、少スペー
   スで設置可能。占有面積は900×600のバルブピットに設置可能。


2.実 績
(1)合理化実績
  @設置費の削減
  ・経年ガバナー取替え時、付帯装置一体型なので取替えが容易。
  ・設置場所が確保できない場合、公道等へ直埋設置できるため、用地購入の必要がありません。
  ・自然環境や、景観から地上設置できない場合に地下室設置となるが、直埋式のため地下室(約80
   0万円)が不要となります。
  Aガス拡販効果
  ・地上式・直埋式とバリエーションがあり、どちらも省スペースなので都市ガスの利便性がPRでき、
   他燃料(バルク)と競合になった場合に競争力が出ます(地方ガス事業者はブランドがないので他
   燃料との競合が多い)。
(2)省エネルギー・環境改善実績
  @省エネルギー
  ・出入り管2箇所を接続するだけで作動可能なため、省エネルギーで設置できます。
  ・製作過程においても普及型との部品共有化を図り、省力化を実現。
  A環境改善
  ・コンパクトなので、地上でも景観を損ねない設置が可能(写真−4・5)。
  ・直埋式は地盤面下設置なので街の景観を損ねません(観光名所を供給区域とする事業者は地下設置
   を余儀なくされる)。
(3)保安改善実績
  ・主要部品の共有化により、法定メンテナンス、調整の作業が一元化でき、誤認によるガバナー事故
   を減らすことができます。
  ・主要部品が全て取り外せ、現場での調整作業がなくユニットを差し替えるだけなので、ヒューマン
   エラーが減少します。
  ・完全防水構造のため、風水害の多い事業者においてもガバナーの冠水による供給支障を防げます。

          
            写真−4              写真−5


写真−3