１．開発テーマの概要
活管の状態で熱量変更時のセクターバルブの取付、補強導管の取出し等で導管工事を施工する場合、
低圧導管はバッグでガスを遮断し鋼管は溶接、鋳鉄管は機械接合で工事を行っています。また、中間
圧導管は需要の少ない時間帯にバルブ操作で低圧に減圧し工事を実施しています。しかし、需要の関
係で低圧化できない導管は中圧ノーブロー工法（中間圧ではオーバースペック）で工事を行っていま
すが、いずれの工法にしても、軽比重ガス用に開発された工法であり、重比重ガスを供給する事業者
は、安全に工事を実施するためそれらの工法を工夫して工事を実施しているのが実情です。そこで、
中間圧の重比重ガスを遮断できる工法を開発しました。
２．主なる仕様及び略図
①遮断能力 ：0.05Mpa０.０５ＭＰａで遮断可能
②パージ能力 ：１ｍ３／ｈ（越しガス処理能力）
③対応導管 ：鉄管、鋳鉄管
④対応口径 ：１００～２００Ａ（２５０Ａ以上は開発中）
⑤越しガス処理：活性炭による脱臭
ブロワーによる希釈放散処理
３．特 長
①中間圧（０.０５ＭＰａ）で遮断できます（強度の高い基布
の使用・耐圧性能試験）。
②活管の状態で遮断できます（ノーブロー工法）。
③重比重ガスに対応しています（軽比重ガスにも対応）。
④本玉を２連バッグとすることで遮断能力が向上しています。
⑤バッグからの越し漏れガスを、本玉１と２の間から抜き取
り、脱臭後ＬＥＬ以下に希釈しパージします。
（越し漏れ量１ｍ３／ｈまで対応可能）
⑥特殊な技量を必要としません（作業としては従来のバッグ遮断作業と遜色ありません）。
⑦軽量、コンパクトです。
⑧中間圧用としては安価です。
５．従来技術・類似技術
従来技術としては、①ＴＮノーブロー工法、②ＳＮＢ工法、③ＰＣＭ活管分岐工法、④ＳＧＭ活管
分岐工法等があります。しかし、これらは軽比重ガス用に開発された工法であり、パージにおいては
重比重ガスに対し考慮されていません。開発品は、重比重ガスを脱臭・希釈して大気放散する構造と
しました。また、中間圧導管は中圧工法で工事する必要がある（大掛かりになる） ため工事費が高
くなりますが、開発品は簡便な工法ため工事のコストダウンが図れます。
６．ポイント
（１） 新規創造性
①中間圧をバッグで遮断できます(装置コストの低減)。
②２連バッグの開発。
③耐圧性の高い基布(バッグ)の開発。
④逆玉の挿入を容易にするため、本玉挿入装置がスラ
イドする構造とし作業性を高めました。
⑤逆玉挿入を容易にするため、本玉挿入装置に挿入チ
ューブの案内溝を付けました。
⑥２連バッグの間から越しガスを抜き取り、脱臭・希
釈後大気放散するパージシステムとしました。
⑦バッグの挿入を容易にするため、穿孔径をソケット
内径と同径程度に穿孔可能な穿孔機を開発しました。
⑧穿孔機にホルソー送り機構を付け、穿孔作業を容易にしました。
⑨検圧計を付け誤穿孔による事故防止構造としました。切片落下防止機構のホルソーとしました。
（２）合理化効果
①従来は中間圧で導管のガス遮断を行う場合、中圧ノーブロー工法で行っていたが中間圧（０.１Ｍ
Ｐａ未満）ではオーバースペックであり、装置・工事費ともに高くなります。今回開発した工法は、
中圧の工法に比べ低コストで工事できます（適材適所的）。
②中間圧導管を従来（低圧）のバッグ遮断工法で工事する場合は、バルブ操作等で低圧に減圧後に工
事を実施するため、工事がガス需要の少ない夜間になる等時間的制約を受けていました。今回開発
した工法は中間圧で工事が可能なため、昼間に工事が実施でき工事のコストダウンが図れます。
③中圧導管でも０.０５ＭＰａまで供給上減圧可能な導管であれば、今回開発した工法を利用するこ
とにより中圧工法でなくても工事が実施できます。
（３）環境改善効果
①脱臭装置と希釈装置でガスを処理するため、工事環境が改善されました（工事の苦情が減少）。
②夜間工事を減らす事ができます（労働環境・苦情減少効果）。
③中圧工法に比べ掘削面積が少なく、交通渋滞抑制効果があります（管理者の許可をけやすい）。
（４）保安効果
①遮断性能の向上とパージシステムの開発により、バッグからの越しガス量がなくなりました。
②活管の状態で外部にガスを漏らすことなくガスが遮断できるため、工事中のガス滞留がなくなりま
した。
③パージガスは脱臭後･希釈放散するため､滞留ガスへの着火等の危険性がなく安全性が向上しました。
④バッグの挿入が容易に出来る構造のため、作業ミスがなく短時間で遮断作業が完了できます。
⑤穿孔作業を容易に行える穿孔機を開発し、かつ導管の圧力を確認できる構造としたため、穿孔作業
の安全性が向上しました（誤穿孔の防止が図れる）。
（５）省エネルギー性
①他の工法に比べ溶接等が少ないので高率的です。
②特殊な継手を使用しないため加工作業が減少しました。
③中間圧導管を時間の制約なく工事できるため省力化（夜間作業の減少）できます。
④掘削面積が比較的少ないので効率的です。
⑤工事がオーバースペックにならないため効率的です。
重比重ガス用導管遮断･ガス処理装置一式
耐圧性の高い２連バッグ